日本作物学会紀事
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異なった栽植密度下でのダイズ収量とその構成要素に及ぼす正方形植えの効果
三浦 秀穂源馬 琢磨
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1986 年 55 巻 4 号 p. 483-488

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抄録
栽植密度を異にしたときのダイズの子実収量とその構成要素に及ぼす正方形植えの効果をみるために, 6品種を供試し, 1984, 85年の2年間試験を行った. 両年とも栽植様式と栽植密度の間に相互作用が認められ, 標準密度区と疎植区では正方形植えが増収となり, 密植区では長方形植えが増収となった. 標準密度区での6品種の平均値でみると, 正方形植えは1984年が30.7kg/a(8.4%増), 1985年が32.7kg/a (11.4%増)となったが, 増収程度は品種間で大きく異なった. 子実収量の栽植様式と栽植密度に対する反応は, 一莢内粒数や100粒重に比べ, 個体当り莢数, 特に分枝莢数の反応に強く依存していた. 個体当り分枝莢数を分枝数と一分枝莢数に分割したとき, 標準密度区と疎植区では正方形植えで分枝数が増加し, 密植区では長方形植えで一分枝莢数が増加したことがわかった. このように, 栽植密度によって正方形植えの効果が植物体の器官で異なることは, 与えられた生育空間に対する分枝の反応能力と関連があるものと推察された. これらの形質では, 品種と栽植様式, 栽植密度の間に相互作用があり, 生育空間に対する反応は遺伝的に異なることがわかった.
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