水稲個体を構成する個々の茎別にシンクおよびシンク/ソース比形成上の特徴を明らかにする目的で本研究を実施した. 日本晴を1/2,000aポットで土耕し, 穂揃期の穂について, 1・2次枝梗と穎花の着生数と退化痕跡数を調べ, 枝梗・穎花の分化数と退化数を推定した. 出穂時の穎花数から"茎の強勢度"の順位づけを行い, これと調査結果との関連を検討して次の結果をえた. (i)穂当たり分化穎花数は茎の強勢度の低下に伴い減少した. この主因は2次枝梗をもつ1次枝梗の減少と1次枝梗当たりの2次枝梗の減少であった. (ii)分化穎花数に対する退化穎花数の割合は茎の強勢度の低下とともに増加した. 退化穎花の主要なものは茎の強勢度に対応して変化した. すなわち, 強勢な茎では2次枝梗とともに退化するもの, 弱勢な茎では1次枝梗とともに退化するものが主要なものであった. (iii)茎の強勢度の低下とともに生存穎花中2次枝梗に着生するものの割合が減少した. (iv)分化穎花数/出穂期葉面積比は茎の強勢度の低-下とともに顕著に増加した. しかし弱勢な茎では高率の退化が起こるため出穂期には生存穎花数/葉面積比が茎の強勢度にかかわらずほぼ同一となった.