日本作物学会紀事
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個々の茎のシンクとソースの発育に着目してみた水稲の収量形成過程 : 第2報 "茎の強勢度"と1次枝梗の着生節位別にみた枝梗・穎花の分化, 退化, 生存
石井 康之玖村 敦彦
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1988 年 57 巻 1 号 p. 157-162

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抄録

第1報の材料のうち強勢度順位1, 5, 9の茎を用い, 枝梗・穎花の発育の様相を個々の1次枝梗ごとにその着生位置を考慮しつつ検討し次の結果をえた. (i) 茎の強勢度が低いほど1穂当たりの1次枝梗数と1次枝梗当たりの分化穎花数が少なく, このことが1穂当たり分化穎花数の減少をもたらした. (ii) すべての茎において, 1次枝梗, 生存1次枝梗上の2次枝梗, 生存2次枝梗上の穎花原基, 生存1次枝梗に直接着生する穎花原基およびひとつの1次枝梗上の全穎花原基の退化率は基部1次枝梗で最大で穂軸上における1次枝梗の着生位置が上昇するにつれて低下した. (iii) 対応する着生位置の1次枝梗を比較した場合, 茎の強勢度が低いほど1次枝梗と生存2次枝梗上の穎花原基の退化率は高かった. これに対し, 生存1次枝梗上の2次枝梗, 生存1次枝梗に直接着生する穎花の原基およびひとつの1次枝梗上の全穎花原基の退化率は茎の強勢度のいかんにかかわらず等しかった. しかし, 弱勢な茎では上位の1次枝梗-ここでは枝梗や穎花原基の退化がほとんど起こらない-が少ないため, 穂全体についての退化率は後3者のそれも弱勢な茎で高かった. (iv) 茎の強勢度の低下につれて全生存穎花に対する2次枝梗上の生存穎花の割合が各位置の1次枝梗でほぼ均等に低下した.

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