日本作物学会紀事
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異なる土壌水分条件下における陸稲とトウモロコシの比較生長解析
山内 章河野 恭広巽 二郎
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1988 年 57 巻 1 号 p. 174-183

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抄録

イネ科作物の中で, 耐湿性程度の大きい陸稲(農林11号)と, 耐早性程度の大きいトウモロコシ(ゴールデンクロスバンタム)を, 湿潤(M区), 乾燥(D区), 湛水(W区)の土壌水分条件下で, 幼植物期から出穂期まで生育させ, その生長を生長解析によって比較, 検討した. 乾物量, RGRの推移によって, 両種の生長を比較すると, 陸稲は乾燥条件下よりも湛水条件下で比較的良い生育を示し, トウモロコシではその逆の傾向を示した. 陸稲のRGRの土壌水分条件による差異は, NARとLARの両方に, トウモロコシでは主にNARの差異によく一致した. そこでNARと関係の深い葉身中の窒素濃度を調べたところ, 両種のNAR, そしてRGRとの間に密接な関係が認められた. また, 根の機能を反映していると考えられる, 各個体の葉身の窒素含量の根数に対する比とNARを比較すると, それらは両種ともよく一致した. さらに根のRGRとNARとの間にも密接な関係が認められた. 以上の結果は, 陸稲とトウモロコシが湛水・乾燥条件下で示した特徴的な生長反応は, 両種の耐湿性・耐早性程度の違いをよく反映しており, そして, その生長反応は, 根の機能・生長に強く依存していることを示している.

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