1988 年 57 巻 1 号 p. 220-224
小麦切除葉の水分保持能の遺伝的差異に関する知見を得るため春小麦と冬小麦それぞれ12品種, およびHoroshiri×CI-14106のF5の100系統, Chihoku×ValujerskajaのF4の70系統とChihoku×PI-173438のF4の70系統を供試し, 次の結果を得た. (1)切除葉の水分保持能の品種間差異は切除時の葉水分に対し11%から33%に低下する時点で明瞭に観察された. (2)水分保持能は低水分含有葉で高く, 冬期間生育した小麦は夏期間のものより高くなる傾向にあった. また対乾燥ハードニングにより葉水分保持能は強化される. (3)3栽培種の交配後世代系統の切除葉の水分保持能の変異分布から, 水分保持能はポリジーンによる量的遺伝形質であることが明らかとなった.