日本作物学会紀事
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水稲の根系形成に関する研究 : 第3報 根の数, 長さ, 体積, 表面積の推移
川島 長治
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キーワード: 根系, 水稲, 生育
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1988 年 57 巻 1 号 p. 26-36

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抄録

水稲1個体または1株の分枝根を含む根の数, 長さ等の根系形成の推移について検討した. 1. 根の数や長さ等は下位根と上位根により, あるいは分枝根の種類により様々な推移を示したが, 下位根と上位根の, しかも1次根と分枝根の合計の推移はつぎのとおりであった. 出穂期前32日における根系の形成率は, 根数, 長さなどの項目によって若干の違いがあるが主稈で40%前後, 分げつVIIで20%前後であった. 形成率はその後20日余りの間に著しく増加した. 2. 主稈, 分げつVIIともに出穂期の直後には根系形成を終了した. 3. 形成を終了した根系は, 主稈で根数:ほぼ120,000本, 長さ:1,100m, 体積:24cm3, 表面積:3,600cm2であり, 分げつVIIで根数:50,000本, 長さ:460m, 体積:11cm3, 表面積:1,500cm2であり, これらから推定される株当り根系は根数:1,280,000本, 長さ:12,000m, 体積: 270cm3, 表面積:39,000cm2であった. 4. 以上のほか, 各要素根における1次根1本当りの分枝根の数, 長さ, 体積, 表面積の推移, その最終値の要素間差, および全根系に占める1次根, 2次根等の種類別割合を検討した.

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