日本作物学会紀事
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水稲の根系形成に関する研究 : 第4報 主稈葉数の異なる品種間の差異について
川島 長治
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キーワード: 根系, 水稲, 生育, 品種間差
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1988 年 57 巻 1 号 p. 37-47

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抄録

主稈葉数の異なる品種の根系形成について, 第2, 第3要素根に着目して検討した. 1. いずれの品種のいずれの要素根においても, 分枝根は1次根の伸長終了と同時ないしその直後に伸長を終了した. 2. 伸長を終了した分枝根の長さはイシカリで長かった. 3. 1次根1本当リ2次根数はイシカリ>トヨニシキ>レイホウで多かったが, 1次根長1cm当リ2次根数は分枝根の種類, 下位根と上位根により品種間差が異なった. 4. 大い2次根長1cm当リ3次根数はレイホウとトヨニシキの上位根に多かった. 5. 分枝根の直径の品種間差は明瞭ではなかった. 6. 生育を終了した各要素根における1次根1本当り分枝根の数, 長さ, 体積, 表面積はイシカリ>トヨニシキ>レイホウで大であった. 7. 第2と第3要素根を合計した1次根の長さ, すべての分枝根の数, 長さ, 体積, 表面積の推移をみると, イシカリ<トヨニシキ<レイホウの順で出穂期に先立つ日数が多いうちから形成率が高く, 形成を終了する時期が早かった. 最終の値はイシカリ>トヨニシキ>レイホウで大であり, 形成終了末期の新しい根系の割合はこの順で大であった. 8. 根系形成に関して品種間に差の生じた要因, 本研究の結果と各品種の全根系との関係, 分枝根の生育に関して前報と異なる点, 主稈葉数の異なる品種の分枝根の生育の特徴について考察した.

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