日本作物学会紀事
Online ISSN : 1349-0990
Print ISSN : 0011-1848
ISSN-L : 0011-1848
水稲の根系形成に関する研究 : 第2報 分げつにおける分枝根の生育
川島 長治
著者情報
キーワード: 根系, 水稲, 生育, 分げつ
ジャーナル フリー

1988 年 57 巻 1 号 p. 19-25

詳細
抄録

平均的な要素の分げつである分げつVIIの各要素の分枝根の生育は, 主稈の第IXより上位の要素根間の差の傾向に類似し, 生育のすすんだ段階で発生した分げつほど, より下位の要素根から"より上位要素根的"な生育を示すことがわかった. その根拠となったデータはつぎのとおりである. 1. 伸長を終了した2・3次根の長さは, 分げつVIIでは上位の要素根ほど短い傾向があったが, 分げつ間差は明瞭ではなかった. 2. 細い2次根と太い2次根を合計した2次根数をみると, 分げつVIIでは最大値の部分の2次根数, 1次根1本当りおよび1次根長1cm当リ2次根数ともに, 上位の要素根ほど少ない傾向があった. 分げつ間では, 下位根における最大値の部分の2次根数, 1cm当リ2次根数, および上位根における1本当リ2次根数はV/分VI>IV/分VII>III/分VIIIであり, 上位根における最大値の部分の2次根数および1cm当リ2次根数はV/分VI<IV/分VII<III/分VIIIであった. 3. 太い2次根長1cm当リ3次根数は, 分げつVIIでは上位の要素根で多かった. 分げつ間では, 下位根においてはV/分VI<IV/分VI1<III/分VIIIであったが, 上位根では分げつにより異なった. 4. 分枝根の直径は, 分げつVIIでは上位の要素根で細かった. 分げつ間では, 下位根の2次根においてはV/分VI>IV/分VII>III/分VIIIであったが, その他は分げつにより異なった.

著者関連情報
© 日本作物学会
前の記事 次の記事
feedback
Top