日本作物学会紀事
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青刈り水稲の再生に関する研究 : 第2報 青刈り後新たに出現した分げつについて
後藤 雄佐星川 清親
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1988 年 57 巻 1 号 p. 59-64

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抄録

幼穂発達期の水稲(ササニシキ)を青刈りした場合に, 後に出現する高節位分げつ(NS)の特徴について調べた. 前報と同一の材料から, 8月7日(IV), 14日(V), 21日(出穂始め:VI)に青刈りした区を用い茎穂の諸形質を調査した. ほとんどの高節位分げつは, 2~3枚の本葉を展開して出穂した. 3枚の本葉をもつ分げつ(NS[3])は主に低刈り(7.5cm刈り)区に生じ, 穂長, 1次枝梗数, 籾数は本葉2枚の分げつ(NS[2])と同程度であった. 止葉をbL1とすると, NS[2]の葉身長はbL1>bL2で, NS[3]ではbL2>bL1>bL3であった. 止葉節をbN1として, bNnに着生する分げつをbTn(分げつ芽はbTBn)とすると, 出現した分げつはほとんどがbT3かbT4で, 特にNS[3]はすべてがbT4であった. また, bTB2は母茎に刈り残されていてもほとんどが分げつとして出現しなかった. また, 青刈り処理をしない対照区の出穂茎において, bTB1の存在は確認できなかった. 高刈り(15cm刈リ)区では, 青刈り時期に2週間のずれがあっても, 各区のNSが同様に2枚の葉を展開して出穂した. このことから, 出穂期が異なる品種について, 青刈り処理を活用することにより出穂を揃えることが可能と考えられ, 広面積の圃場で, 出穂期の異なる品種を掛け合わせる一代雑種品種の種籾を生産する技術に応用できると推察した.

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