抄録
異なる生理的条件の下で測定したダイズ個体の呼吸速度の経時変化から, 呼吸速度の決定機構を検討した. 暗期中の単位乾物重あたリCO2放出速度(RPW)は, 暗期開始直後には低下するが, 数時間後, 一時的に増加し (Midnight Rise of Respiration, MRR), その後, 再び低下し続けるという経時変化を示した. このような経時変化を示すRPWは, 全般的に植物体が若く, 窒素供給を行なった場合に高く, MRRも顕著であったが, 成熟の進んだ個体あるいは窒素供給を停止した個体ではMRRが見られなくなった. これらのことより, ダイズ個体においては, RPWの大きさおよびMRRを特徴とするRPWの経時変化は, 呼吸により生成されるエネルギーおよび中間代謝産物に対する植物体自身の需要度によって決められると考えられた.