日本作物学会紀事
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ルートスキャナーを用いて評価した水稲根の形態的諸形質
森田 茂紀菅 徹也春木 康山崎 耕宇
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1988 年 57 巻 2 号 p. 371-376

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抄録
ルートスキャナー(ライン交差法の応用機器)を用いて評価した根の長さから, 水稲根の形態的諸形質に関する指標を考案した. 実際の根の測定に先立って, 異なる直径(0.07, 0.10, および0.33mm)のナイロン糸をルートスキャナーで測定し, 機器の性能について検討した. その結果, ナイロン糸の直径が0.1mm 以上の場合に, 測定は正確であることが分かった. このことから, ルートスキャナーは, 水稲の1次根の全部および "太い" 2次根の大部分について, その長さを測定しているものと考えられた. いくつかの水稲品種について, ルートスキャナーを用いて根長(ERL)を測定するとともに, 1次根の長さ(PRL)およびFAA固定後の乾物重('DW')を実測した. これらの測定値をもとに, 根の分枝と根の太さ(直径)の指標として "分枝係数" および "太さ係数" を提案し, それぞれERL/PRL 比と 'DW'/ERL 比をもって示されるものと定義した. 本研究では, "分枝係数" は2.2から4.6 (m/m)の範囲にあり, "太さ係数" は9.18から10.81(mg/m)の範囲にあった. 植物体の生育段階や品種による違いを解析した結果, これらの "係数" は, 相対的な比較のための有用な指標であると考えられた.
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