日本作物学会紀事
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イネの葉鞘および穂における内生エチレンレベルについて
道山 弘康坂 斉
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1988 年 57 巻 2 号 p. 366-370

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抄録
イネの葉鞘内に通気組織が発達していることおよび若い穂の穎花内に空気が入っていることに着目して, それらを水中で押し潰してガスを捕集することによりエチレンを測定する手法を確立した. この手法を用いて, 水田またはポットで生育したイネの葉鞘および穂における内生エチレンの変動を調べ次の結果を得た. 1. イネ葉鞘中のエチレンレベルは, 採取30分後まで採取直後と同程度であり, その後急激に上昇して, 採取1時間後に最高値を示した. その後は再び低下するものの, 採取後3時間の範囲では採取直後のそれより高いレベルを維持した. 2. イネ葉鞘中のエチレンレベルの日変化を見ると, 昼間に高く, 11:00-15:00 頃に最高値を示し, 夜間には低下した. 3. 出穂23日前のイネでは, 上位4葉の葉鞘中のエチレンレベルは同程度であった. しかし, 出穂開花期のイネでは, 止葉の葉鞘が最高値を示し, 葉位が下がるに伴ってエチレンレベルも低下した. しかし, 穎花中のエチレンレベルは, 葉位間では最高値を示す止葉葉鞘中よりさらに高かった.
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