日本作物学会紀事
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Sorghum 属作物の窒素代謝に関する研究 : 第1報 カリウムとリン欠乏条件下における基肥窒素レベルの相違と窒素追肥がソルゴーの再生長と窒素代謝に及ぼす影響
折谷 隆志松本 栄一
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1988 年 57 巻 4 号 p. 655-665

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抄録
本研究はカリウム(K)とリン(P)の欠乏の各条件下で基肥窒素レベルと窒素追肥がソルゴーの再生長と窒素(N)代謝に及ぼす影響を調査した. 1. 実験Iでは, 刈取り乾物重は適当な基肥NレベルとN追肥の組合わせにより効果的に増加したが, 多N条件下のN追肥によりかえって減少すると共に家畜にとって有毒な青酸含有率が顕著に増加した. このような作物体のN反応はK或いはP欠乏下の多N条件下において強くあらわれた. なお, Nの追肥時期の判定方法として作物体の, とくに葉緑素と出液のアミノ酸レベルに着目してこれらの関係をみた結果, 葉緑素レベルよりも出液のアミノ酸含量を指標として診断するほうが, より適切であると考えられた. 2. 実験IIでは圃場における追肥Nの適量は5~10kg/10aが適当と考えられた. なお, 多Nレベル下においてKやPが欠乏している場合には, とくに出液のP濃度が著しく低下し, 体内的に遊離アミノ酸の増加蓄積が起り, これらに伴って葉身または茎の青酸や硝酸態Nの顕著な増加が引き起こされた. 3. 実験IIIでは基肥Nレベルの上昇に伴う作物体のN反応として, とくに出液と茎におけるアスパラギンの増大が顕著なことから, 作物体のN栄養診断の場合は出液のアスパラギン検出によってその目的を達成することができる.
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