2014 年 13 巻 2 号 p. 84-89
東日本大震災によって被災した多くの地域では、その生活環境の変化から高齢者の外出行動が減少している傾向があり、高齢者の生活の再活性化を促す交流機会の創出が望まれている。このような観点から震災後、岩手県釜石市において「にこにこバス」というデマンド交通が導入されたが、現時点でその効果は限定的なものとなっている。そのため、本研究では高齢者に対して半構造化インタビューを実施し、彼らが望む交流環境の要件を調べることにした。その結果、「遠慮」の意識が外出行動に影響している可能性が示唆され、遠慮の意識を軽減する方策として、被災以前のコミュニティに属する人たちを集めるイベントと、にこにこバスの利用者と顔の見える交流を行う活動を行ったところ、その効果の一部を検証することができた。