日本作物学会紀事
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バレイショの根の乾物重, 形態, 長さおよび活力におよぼす施肥量の影響
岩間 和人
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1988 年 57 巻 4 号 p. 759-764

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抄録
施肥量がバレイショの根の生長におよぼす影響についての研究はきわめて少なく, またその結果が一致していない. そこで, 施肥量の異なる (窒素, リン酸, 加里のそれぞれについて 0, 75, 150 および 300 kg/ha) 圃場条件下で, 根乾物重(根重), 根長, 分枝根長/根長比(分枝根長比), 根長/根重比 および根長当り根呼吸速度を, 萌芽後28日目と56日目に調査した. 根の採取は鉄製のモノリス枠 (幅5 cm, 長さ30 cm, 深さ30 cm) を用いて行ない, 根呼吸速度は前報3)と同様の手法で調査した. 分枝根長比および根長/根重比に対する処理の影響は概して小さかった(第3表, 第2図). このため, 根重と根長の処理に対する反応はほぼ類似し, 施肥量が少ないと根重および根長の増加が抑制され, また根の枯死が早まった(第2表, 第4表). さらに, 根長当り根呼吸速度にも処理間で有意な差異が認められた. 両調査時期とも多肥区ほど高い値を示したが, 特に56日目でその差異が顕著であった(第5表). 以上のことから, 施肥量の増加にともない根の養分吸収能力が増加すること, これは開花始め以前では主として根量の差異に, またこれ以降では主として単位根量当りの根活力の差異に起因することが示唆された(第3図).
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