抄録
ダイズには, 開花後まもなく茎の伸長が停止する有限伸育型と, 開花後も伸長を続ける無限伸育型がある. 伸育型のみが異なる同質遺伝子系統が分離されていることから, 開花と茎の伸長停止の両現象を誘起する内生要因はそれぞれ別のものであると考えられる. 茎の伸長停止を引き起こす内生要因を究明するため, 有限型と無限型の同質遺伝子系統を用いて葉及び莢のアブシジン酸含量の経時的変動を比較した. アブシジン酸含量は両型共ほぼ等しく推移し, 差異は認められなかった. したがってダイズの伸育型の決定にアブシジン酸は関与していないと考えられた.