日本作物学会紀事
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バレイショ栽培種の根の諸形質の比較
岩間 和人西部 幸男
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1989 年 58 巻 1 号 p. 126-132

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抄録
バレイショの野生種を利用して, 栽培種の根の特性を育種的に改良するために, 基本的情報として栽培品種および系統12種と野生種8種における根の形態, 呼吸活性, 乾物重, 長さおよび表面積を開花期に圃場条件下で比較した. 野生種は栽培品種および系統に比べ, 根の平均直径が細く, また根の乾物率が高い特性を示した. また, 根のモノリスの観察から, 分枝根の数と太さと長さに供試材料間で顕著な差異を認めた. 根重当たりおよび根長当たりのいずれにおいても根の呼吸活性は, 栽培品種のほうが野生種よりも高い値を示した. 幾つかの野生種は, 栽培品種および系統に比べ, 根重, 根長, 根表面積および葉重に対する根重の割合において顕著に大きな値を示した. 本実験の結果から, 野生種と栽培種との交配により, 根の特性に関して大きな遺伝的変異を示す後代が得られるものと予想され, 野生種は栽培種の根の特性の育種的改良に寄与することが示唆された.
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