抄録
米デンプンの性質は米粒の部位によって違うことが知られている. 14Cを取り込ませた米粒の外部と内部からデンプンを分離し, それらのデンプン粒の構造及び分子成分の形成と米粒登熟との関係を検討した. 前報で得られた14C標識した玄米を湿式搗精法で外部と内部画分に分け, ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムで洗浄によりデンプンを精製した. デンプンの比放射活性は全粒としては出穂後18日目に最も高かった. これを外部と内部で比べると, 登熟前期(11日まで)には内部の方が高いが, 18日目以降では外部の方が高くなった. ゲルろ過により分離したアミロースとアミロペクチンの比放射活性は登熟前期には大差がないが, 後期にはアミロースの方が高かった. β-アミラーゼで分解の結果, 放射活性はデンプン分子内に均一に分布していることが分かった. 生デンプン粒のグルコアミラーゼで分解しにくい部分は登熟前期に, 分解しやすい部分は後期に比放射活性が高かった. また塩酸分解した部分と残った部分も比放射活性が異っていた.