2021 年 24 巻 1 号 p. 71-75
糖尿病性ケトアシドーシス(diabetic ketoacidosis;DKA)を併存した偶発性低体温症(accidental hypothermia;AH)が感染症を併発すると重症化する可能性があるが,DKAが併存したAH症例に関する報告は少なく,特徴や治療戦略は明らかとなっていない。今回,当センターへ搬送され入院となったDKAが併存した非外因性屋内発症AH症例のうち,入院後に敗血症性ショックを合併した3症例を経験した。3症例ともに来院時HbA1cが高値であり,血糖コントロール不良であったことが感染症増悪に寄与したと考えられ,低体温の作用が重なることによってさらなる免疫抑制をきたし,感染コントロールが不良になったと推測された。DKAが併存したAH症例では,感染症が重篤化し,敗血症性ショックを合併する可能性があるため,感染源の検索と感染症治療の早期開始が重要である。