抄録
トウモロコシ葉の細胞膜安定性をポリエチレングリコール (PEG) 試験法により評価した。さらにトウモロコシ3品種 (K8388, P3424, P3358) の展開完了最上位葉の先端部, 中央部, 基部の3部位について浸透ポテンシャル, 水ポテンシャル, 気孔抵抗, クチクラ抵抗および各部位の糖, K, Ca, Mg含量とPEG 処理によって生じた損傷程度 (被害度) との関係から細胞膜安定性の支配要因を解析した。水ポテンシャル, 浸透ポテンシャル, 葉組織と細胞液中のMg含量と被害度との間には高い相関が認められた。特に葉組織の浸透ポテンシャルが, PEG処理によるストレス, すなわち被害度に直接影響を及ぼし, 浸透ポテンシャルの低い品種ほど被害度の小さいことが推察された。浸透ポテンシャルの低下は, 他の体内成分に比べアルコール可溶糖により高く依存していることが推察されたが, 葉組織, 細胞液中の糖含量と被害度との間には相関は認められなかった。