日本作物学会紀事
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水稲多収性品種の光合成特性について : 第1報 個葉の光合成速度
中沢 文男角田 公正鳥倉 弘文
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1990 年 59 巻 1 号 p. 72-79

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抄録
日本型品種むさしこがね, アケノホシ, 日印交雑型品種水原262号, インド型品種南京11号, RP 9-3の計5品種を用い, ポット栽培したイネについて生育の主要時期に人工照明下で個葉の光合成速度を測定するとともに, 2, 3の形質との関係を検討した。低照度 (10 klx) 下の光合成速度には最高分げつ期から出穂期まで品種間でほとんど差がみとめられず, また, いずれの品種も, 登熟期に入ってからの低下が著しかった。高照度 (60 klx) 下では, 生育ステージの推移に伴い光合成速度は低下した。日本型品種は最高分げつ期に高く, 日印交雑型品種は穂ばらみ期で高い光合成速度を示し, インド型の南京11号は日本型に近い値を示した。各生育時期を通して常に高い値を示したのは水原262号であり, 日本型より高い光合成能力を持つ品種であると思われた。各品種とも移植後日数の経過に伴い呼吸速度の低下が認められたが, 一般的に日本型品種と日印交雑型品種で高く推移し, インド型品種で低く推移する傾向が認められた。高照度下における光合成速度と葉緑素含量との間には高い正の相関関係が認められた。
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