抄録
第1報と同様, 幼穂形成期から出穂期にかけて人為的に遮光処理 (遮光率22%) を行った水稲において, 1次根の数, 種類, 類型および伸長方向の変化を解析した。遮光処理は, 有効茎の構成および総数には影響を及ぼさなかったが, 1株当り, 1茎当りのいずれの場合についてみても, 伸長根およびいじけ根の数をともに減少させ, その結果, 総根数は対照区より1割程度減少した。この場合, いじけ根の減少率がとくに大きかった。要素別にみると根数の減少は処理後に出根・伸長する第11要素および第12要素の1次根で顕著に認められ, 第11要素ではいじけ根, 第12要素では伸長根およびいじけ根の数がそれぞれ減少した。第11, 12要素の伸長根を類型別にみると, その数および比率ともに, A型根が減少し, C型根が増加する傾向を示した。また, 伸長根の伸長方向には遮光処理による影響は認められなかったが, 各伸長方向にわたって平均的に根数が減少する傾向が認められた。本研究の結果, 水稲の収量と生育後期に形成される高位要素の1次根の数および形態が密接に関係していることが示唆された。