日本作物学会紀事
Online ISSN : 1349-0990
Print ISSN : 0011-1848
ISSN-L : 0011-1848
幼穂形成期から出穂期にかけての遮光処理が水稲の根系の形成および収量に及ぼす影響 : 第2報 1次根に着目した場合
間脇 正博原田 二郎岩田 忠寿山崎 耕宇
著者情報
ジャーナル フリー

1990 年 59 巻 1 号 p. 95-99

詳細
抄録
第1報と同様, 幼穂形成期から出穂期にかけて人為的に遮光処理 (遮光率22%) を行った水稲において, 1次根の数, 種類, 類型および伸長方向の変化を解析した。遮光処理は, 有効茎の構成および総数には影響を及ぼさなかったが, 1株当り, 1茎当りのいずれの場合についてみても, 伸長根およびいじけ根の数をともに減少させ, その結果, 総根数は対照区より1割程度減少した。この場合, いじけ根の減少率がとくに大きかった。要素別にみると根数の減少は処理後に出根・伸長する第11要素および第12要素の1次根で顕著に認められ, 第11要素ではいじけ根, 第12要素では伸長根およびいじけ根の数がそれぞれ減少した。第11, 12要素の伸長根を類型別にみると, その数および比率ともに, A型根が減少し, C型根が増加する傾向を示した。また, 伸長根の伸長方向には遮光処理による影響は認められなかったが, 各伸長方向にわたって平均的に根数が減少する傾向が認められた。本研究の結果, 水稲の収量と生育後期に形成される高位要素の1次根の数および形態が密接に関係していることが示唆された。
著者関連情報
© 日本作物学会
前の記事 次の記事
feedback
Top