抄録
節間伸長開始期における分げつ地上部の生長と出穂率との関係を品種登録年を異にする西日本品種の新中長とオマセコムギ (ともに秋播性程度II) および北海道春播品種の農林29号 (秋播性程度I) を用いて検討した。温室・長日条件へ移行後1週間の地上部乾物重増加量 (ΔD) および1週間目の全窒素含有量 (N量) は, 出穂率が低かった新中長が高かったオマセコムギよりも強大分げつでは多く, 弱小分げつでは少なかった。出穂率が100%よりも低くなる限界のΔDおよびN量は新中長がオマセコムギよりも多かった。出穂率が100%よりも低い分げつでは, ΔDおよびN量と出穂率との間に同一品種ではほぼ比例的な関係が認められた。分げつの出穂, 不出穂の区別が明確になった温室・長日条件へ移行2週間後には, 出穂分げつは不出穂分げつに比べて乾物重, N量, 追肥窒素吸収量が多く, N量に占める追肥窒素の割合が高かった。長日と短日の両条件で生育した農林29号において, 日長処理開始後1週間のΔDは強大分げつでは長日区が短日区よりも, 弱小分げつでは短日区が長日区よりも多かった。長日区, 短日区ともに, ΔDと出穂率との間にはほぼ比例的の関係が認められた。N量は, 出穂分げつでは多く, 不出穂分げつでは少なかったが, 出穂分げつでは長日区と短日区との間に差を示さなかった。出現した分げつが発根して独立生長を開始するまでの生長量及び窒素吸収能力は, 出穂率が低い分げつほど小さかった。