日本作物学会紀事
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生育中期の水管理が水稲生育収量に及ぼす影響
飯田 周治新村 善男上森 晃久津那 浩三
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1990 年 59 巻 3 号 p. 413-418

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抄録

一般の圃場での生育中期の水管理の方法が水稲の生育収量に及ぼす影響を明らかにするため, 壌土質乾田を用い, 土壌改良資材, 肥料, 稲わら等を適切に施用して, 分けつ終期から減数分裂期までの間の排水方法を変えることによって, 土壌への影響, 水稲の生育, 収量品質に及ぼす影響を調べた。試験区1は分けつ終期, 穂首分化期, 減数分裂期前期の3回にわたって数日間潅水を止めて排水をする区, 試験区2は穂首分化期と減数分裂期前期の2回同様の排水をする区, 試験区3は減数分裂期前期のみの同様の排水をする区を設け, ほぼ同じ内容で3年間試験を継続した。排水が土壌の酸化還元電位や減水深に及ぼす影響では, 試験区1の場合が+300 mV附近の最も高い酸化状態に達し, 湛水後も高い酸化状態が長く継続した。土壌の減水深も同様に試験区1の場合が48~60 mm/日と最も多かった。排水の差による分けつの発生, 稲体の生育, 稲体の窒素含量に及ぼす影響はほとんど認められなかった。収穫時の生葉数や枝梗の生存率に及ぼす影響は試験区1が良好であった。根系に及ぼす影響も同様に試験区1が大部分褐色の健全根で良好であった。収量品質面への影響では, 玄米重, 籾重は試験区1が常に優れ, 稲わら施用の場合特に玄米重への影響について有意差が認められた。立毛中の胴割粒の発生は試験区1が最も少なかった。

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