日本作物学会紀事
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イソプロチオランの植物生育調節作用 第5報 マメ科作物胚軸切片の不定根形成に対するRNA, 蛋白質生合成阻害剤とイソプロチオランとの相互作用
大塚 隆陽川 昌範坂 斉
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1990 年 59 巻 3 号 p. 566-571

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抄録

イソプロチオラン (ジイソプロピル-1, 3-ジチオラン-2-イリデンマロネート, IPTと略す) のインゲンマメ下胚軸切片とアズキ上胚軸切片の不定根形成作用に対する影響を調べた。IPTはインゲンマメ下胚軸切片調製直後からの24時間浸漬処理で, IAAに比べて高い発根促進効果を示した。一方, アズキ上胚軸切片では, 切片調製後1時間のIPT浸漬処理でも不定根の形成が促進された。IPTは不定根原基の細胞分裂も促進したので, RNAや蛋白質の生合成阻害剤の影響についても調べた。その結果, アズキ上胚軸切片調製後2時間の10-4Mシクロヘキシミド処理はIPTによる不定根形成を完全に抑制したが, 5×10-4M IPT前処理はこの阻害作用を軽減した。一方, アクチノマイシンDは10-8~10-5 Mでは阻害効果はなく, IPTとの相互作用も認められなかった。以上の結果から, IPTは根原基誘導の為の蛋白質生合成を通じて不定根形成を促進することが示唆された。

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