日本作物学会紀事
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ビール大麦における穀皮の厚さの品種間差異
浜地 勇次吉田 智彦
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1990 年 59 巻 4 号 p. 733-736

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抄録
從来, ビール大麦の穀皮の厚さは穀皮歩合あるいは外観調査によって推定されるのみであったが, 本研究ではビール大麦5品種について穀皮の厚さを実測して, その品種差異を検討するとともに, 正常位と側面裂皮粒の穀皮の厚さを比較した。ビール大麦5品種の正常位の厚さは, にらさき二条, ニシノゴールドおよび吉糸16の3品種が3.3~3.6×10-2 mm, あまぎ二条ときぬゆたかの2品種が4.3~4.5×10-2 mmであり, 前者の3品種の穀皮が後者の2品種より薄かった。にらさき二条とニシノゴールドは麦芽エキスが83.2%~83.8%で穀皮のしわが多く, あまぎ二条ときぬゆたかは81.3%~81.9%で穀皮のしわは少なかった。にらさき二条, ニシノゴールドおよび吉糸16の3品種の穀皮の厚さの平均値は, 正常粒と側面裂皮粒で各々3.4×10-2 mmと3.5×10-2 mmであり, 両者間に差が認められなかった。また, 粒の位置によるの穀皮の厚さ差は小さかった。以上の結果から, ビール大麦の穀皮の厚さに品種差異があり, 麦芽エキスが高くしわが多い品種の穀皮は麦芽エキスが低くしわが少ない品種より薄かった。また, 正常粒と側面裂皮粒の厚さには差がないことが明らかになった。
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