日本作物学会紀事
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土壌圧縮の影響下における4種のイネ科作物の根系構造の種間差
飯嶋 盛雄河野 恭広
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1991 年 60 巻 1 号 p. 130-145

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抄録
土壌の機械的抵抗に対する根系全体の生長反応を明らかにするために,土壌容積重を1.33g/cm3(対照区)及び1.50g/cm3 (圧縮区)に調整した根箱に,陸稲・ハトムギ・モロコシ・トウモロコシを2週間生育させ,その全根系構成要素の数,長さ及び大さを計測した. いずれの種も圧縮区において,種子根及び節根の伸長は抑制された. また,圧縮区においては側根の旺盛な発育が観察されたが, これは,高次の側根ほど生長量の抑制が低下するか,あるいは対照区と比較して促進されることに起因していた. さらに,圧縮区において,いずれの種もL型側根(長く,比較的根径が大きく高次の側根を分枝する)の出現率が増加し,高次の側根の生長に寄与した. 4種の作物を比較すると,陸稲・ハトムギに比較して, トウモロコシ・モロコシでは,地上部および地下部の生長の抑制程度は大きくなった. 圧縮区におけるL型側根の出現率は,前者では後者の1.5-3.0倍に増加した. また根径の大きさに関わらず,各分枝次元の側根の平均長がより大きな種ほど,各分枝次元の側根総根長の抑制は大きくなった. 以上の結果は, L型側根の発生能力及び各分枝次元の側根の伸長速度が圧縮土壌中で生育する根の生長反応に密接に関与していることを示唆した.
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