抄録
イネ種子胚盤由来のカルスを高濃度の庶糖を含むMS培地で前培養することにより,カルスの白色・コンパクト化が促進され,得られたカルスは植物体再分化培地に移植することによって効率よく,植物体に分化するのが観察された. またマニトールを添加することによって,培地の浸透ポテンシャルが高濃度庶糖処理と同じになるように調節し水ストレスをかけたところ,対照カルスより高い植物体再分化効果が得られたが,高濃度葉糖処理ほどの効果は認められなかった. 走査電子顕微鏡を用いた観察によると,高い植物体再分化能をもつカルスは滑面構造を高頻度に有する傾向があった.