抄録
C3型光合成を行っているMesembryanthemum crystallinum L.の葉身は植物体の根をNaCl処理することによって処理後1週間で暗期にCO2を吸収するようになり,光合成型がC3型からCrassulacean acid metabolism (CAM)型ヘシフトすることが認められた. 葉身の暗期の終わりのリンゴ酸含量の増加の推移はホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ(PEPCase). NADP-リンゴ酸酵素(NADP-ME)及びピルビン酸正リン酸ジキナーゼ(PPDK)活性の増加の推移とほほ一致しており,それらはNaCl処理後約1週間で最大に達した. 本研究では, C3型 M.crystallinumの葉身にもPPDKが存在していることを見い出し, CAM型光合成へのシフトにともなうPEPCase及びPPDKの活性の増加は, これらの酵素タンパク質の新たな合成によって達成されていることが明らかとなった.