日本作物学会紀事
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イネ属植物における小穂構造の種間変異に関する研究
廣井 清貞MAMUN Abdullah Al和田 富吉武岡 洋治
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1991 年 60 巻 1 号 p. 153-160

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抄録
イネ属植物における小穂および生殖器官の形態・構造の種間変異を明らかにするため本研究を行った. この目的から, (1)小穂と生殖器宮の構造, (2)小穂と生殖器宮の大きさの関係, (3)葯の表面構造,を観察.調査した. 供試材料にはAAゲノムを持つイネ栽培種および野生種を用いた. 小穂長はO.breviligulataが最も大きく, O.sativaが最も小さかった. 小穂幅はO.sativaが最も大きく,O.meridionalisが最も小さかった.葯長はO.longistaminataが最長で, O.breviligulataが最短であった. 柱頭長はO.longistaminataが最も長く,O.sativaが最も短かった. 小穂長と柱頭長との間には有意な正の相関関係があったが,葯長との間には相関関係は認められなかった. 葯長と柱頭長の間には有意な正の相関関係が見られた. 小穂幅と柱頭長には有意な負の相関関係が見られた.葯表面におけるクチクラの発達程度は,種,穂上位置,あるいは同一約内の部位によって差異が観察された.葯の先端部のクチクラは基部よりも密であり,上位小穂における葯クチクラは下位小穂のものよりも密であった.穂上位置の違いによる葯クチクラの発達程度の差は野生種においてより大きかった.葯クチクラの種間変異,穂上位置および部位による差異について若干考察した.
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