日本作物学会紀事
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ロックウール・ポット水耕装置によるトウモロコシ栽培について
窪田 文武田中 典幸有馬 進牧山 繁生
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1991 年 60 巻 1 号 p. 42-46

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抄録
根系処理に対する植物体の生育反応を観察,測定するための実験手法としてロックウール・ポット水耕装置を創出した.本装置は, ロックウール・ブロックを挿入した鉄製ポットと水耕液槽から成る. ポットの水耕液槽への着脱は容易であり, また,植物体もポットごと容易に移動できる. ここでは,水耕液に木村氏A液を使用し, トウモロコシの栽培実験を試みた. 発芽後10日を過ぎると葉の黄化現象がみられたが,水耕液のMn濃度を50mg/l, pHを5.5に維持すると葉色および光合成速度に急速な回復が認められ,その後,植物体は登熟期まで順調に生育した. ロックウール・ポット内に設けた気相部から根は適度な酸素供給を受けるため,酸素欠乏による生育遅延,障害は発生しなかった. ロックウール・ポット水耕装置は多くの作物に適用することが可能であり,種々の実験条件下における地上部と地下部生長の機能的相互関係を解明するための有用の実験手法となり得る.
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