日本作物学会紀事
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西南暖地における水稲品種の物質生産からみた深層追肥適用に関する研究
王 維金片山 勝之武田 友四郎
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1991 年 60 巻 1 号 p. 57-64

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抄録
穎花数不足及ぴ穎花生産効率が低いといわれる西南暖地稲作に対して窒素の深層追肥栽培(深追栽培)によってどこまで対応できるかを明らかにし, さらに品種に対する適応性を評価する目的で, 日本型水稲品種(ツクシバレ, ヒヨクモチ) ,日印交雑水稲品種(密陽23号,水原258号)及び改良インド型水稲品種(IR 661)をそれぞれ供試し実験を行った.結果は以下の通りであった. 1)穂長/稗長比は,深追区と慣行区で有意差は認められなかった. 2)深追区の葉面積指数は分げつ数の増加及び葉身長で慣行区に比べて大きくなった. 3)深追によって出穂期後30日間の乾物生産は日印交雑水稲品種は増大したが,他の品種は減少した. 日印交雑水稲品種は深追によっても過繁茂にならなかった. 4)深追区のm2当りの穎花数は慣行区に比べて増加したが,その反面登熟歩合は低下したので収量は慣行区と有意な差は認められなかった. しかし, 日印交雑水稲品種はやや増収した. 5)深追栽培によって,穎花生産効率は高くならなかった. 6)西南暖地において深追栽培によって安定で多収をねらう場合, 日印交雑水稲品種のような耐肥性の大きい品種が適していることが明らかになった.
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