日本作物学会紀事
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稲幼植物生体重の品種内個体変異とその変異が品種の幼植物耐塩性評価に及ぼす影響
CABUSLAY G.S.BLANCO L.C.秋田 重誠
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1991 年 60 巻 2 号 p. 271-277

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抄録
既存の稲品種・系統について幼植物の耐塩性評価に影響を及ぼす幼植物の生体重の頻度分布(ヒストグラム)を求めた結果,ある品種の幼植物の生体重ヒストグラムはほぼ正規分布に近い形を示すのに対し,他のあるものは複数のピークを持つヒストグラムを示した. この幼植物生体重のヒストグラムは胚重のそれと類似していた. また,生体重ヒストグラムの各ピークごとに個体をとり圃場に移して出穂期を観察したところ,各々異なる出穂日を示す場合もみられた. このことは生体重ヒストグラムの変異に遺伝的要因も関与する可能性を示すと考えられた. 稲種子を播種後1週間標準的な水耕液中にて育てた後,幼植物を標準および5, 10ds/mと塩濃度の異なる培養液中に移し30日間育て,各処理条件での生長量および植物体内のナトリウムおよびカリウム濃度を測定した. 処理30日後の標準水耕液中で育てた材料の生体重のヒストグラムと塩処理下で育てられた材料の生体重ヒストグラムは平均値の値は異なるが分布のパターンはお互いに似ていた. また,既存の品種を用いて塩処理条件下で生存する個体を選抜採種し,次世代の個体の耐塩性を評価した場合,品種によりもとの材料の耐塩性より強くなるもの,弱くなるものおよびほとんど変化しないものがみられた. これらの結果は稲幼植物の耐塩性に関与する要因は複数あり,耐塩性の比較試験を行うにあたっては少なくとも幼植物生体重についての遺伝的変異をできるだけ小さくした材料について評価がなされるべきであることを示すものと考えられた.
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