抄録
トウモロコシにおける根の分枝について, Morita & Collins (1990)が考案した「分枝指数」という指標を用いて検討を行なった. 圃場で慣行栽培したトウモロコシの根系を登熟期に採取し, 1次根の基部10cmにおける分枝程度を「分枝指数」を用いて解析した結果, 異なる節から出根した1次根の分枝程度の差を定量的に把握することができた. また, 「分枝指数」=「長さの要因」×「密度の要因」と定義されるが, 「分枝指数」の大小は「密度の要因」に比較して「長さの要因」に大きく規定されていることが推察された. さらに1次根の直径に着目して解析した結果, 「密度の要因」は2次根が出根する「場」に相当する1次根の表面積に, また「長さの要因」は1次根の表面積とは異なる要因に規定されている可能性が示唆された. なお, 分枝程度を解析する過程で, 根長測定方法の比較も行なった. 格子法による測定結果をスタンダードとすると, ルートスキャナーによる測定値は高い信頼度を示した. その他, 画像解析法は直径別の根長を測定することができるため, 非常に有用であった.