抄録
シソにおいて, ジベレリン生合成阻害剤を与えて誘導処理すると花蕾出現日には影響しないが, 開花日が遅延した. ジベレリン生合成阻害剤の存在下で誘導し花芽分化した茎頂部を, 栄養生長している正常な植物に接木すると, 再びジベレリン生合成阻害剤で処理したものに接木したものに比べて開花がすみやかに起こった. これらのことから, シソにおいて内生ジベレリンは花芽分化に直接関与していないが, 一旦分化した花芽の発育には重要な役割を演じているものと結論された. 一方3~4cmの長さの発育途中の花穂を, 栄養生長している受容植物に接木すると21.4%の植物に開花を誘導した. このことは, 誘導葉で生成した花成刺激の表現として分化した花器官に, 花成刺激が一部はまだ保持されていることを示すものと思われる.