抄録
1ポットあたり1本植えで孤立個体に近い条件で栽培した水稲品種(ササニシキ)を材料に, 穂揃後, すべての穂を切除し, 30/25℃ (昼/夜温)の自然光ファイトトロン内に搬入した. その後出現した高節位分げつが出穂を完了したあと, 以下の形質を調査した. 主茎葉数は14.8枚, 1株あたり出穂茎数23.4本, 高節位分げつ数51.0本, 総茎数74.4本であった. 主茎, 1次, 2次, 3次分げっの伸長節間数は, いずれも5±1個の範囲にあった. 分げつの総葉数は3枚から9枚まで大きな変異があった. 一方, 穂揃後の穂切除により出現した高節位分げつの調査では, 1次分げつおよび各分げつの穂首節(第1節)からの分げつ(bT 1)は認められなかった. 1茎あたり総葉数は, 次数間では差はなく, 節位が高くなるにつれて減少した. 伸長節間数は, 第2節からの分げつ(bT 2)で最も小さく, 第5節からの分げつ(bT 5)で最も大きかった. bT2とbT3では, ほぼすべての節間が伸長節間となり, 伸長節間数は葉数+1となった. 非伸長節間数(NNEI)は, 葉数や伸長節間数に比べて変異がきわめて小さかった. また, 次数間で差はなかった. bT2とbT3のNNEIは, ほぼ0であったが, bT4も半数以上が0となった. bT5では, 2次で0, 3次で1, 4次分げつで2が最も多かった. bT5でのNNEIの増大は休眠期間の増大によると推定される. 本報ではプロフィル節間を節間数から除外したが, 5mm以上伸長したものは1例もなかった.