日本作物学会紀事
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圃場条件におけるダイズの窒素固定活性の品種間差異
白岩 立彦SINCLAIR Thomas R.橋川 潮
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1994 年 63 巻 1 号 p. 111-117

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抄録
ダイズ個体群の窒素固定活性における品種間差異を圃場条件のもとで検討した. 1989年と1991年にそれぞれ4および15のダイズ品種ならびに根粒非着生品種T 201を栽培した. 生育期間中3ないし4回にわたって地上部全乾物重, 地上部全窒素含量および根粒重(1991年のみ)を測定した. 窒素固定量は差し引き法によって求めた. 1989年には堆肥を連用した畑圃場を用いたが, その土壌窒素供給は, 1991年に用いた堆肥施用前歴のない水田転換畑と比べて大きかった. 1日当たり窒素固定速度(DNF)は両年とも, 地上部全乾物重との間に密接な直線関係を示しながら, およそR5(子実肥大始)まで増加した. 直線の傾き(dDNF/dTOPDW)を全品種こみで計算した結果は, 1989年が1.62mg day-1g-1 (r=0.91), 1991年が1.69mg day-1g-1(r2=0.92)であった. また一方, R5までのdDNF/dTOPDWを各品種ごとに計算したところ, 1991年Harosoyの1.29mgday-1g-1(r2=0.47)から1991年房成の2.23mgday-1g-1(r2=0.93)まで実質的な品種間差異がみられた. 栄養生長期間を通じ, 根粒重の地上部全乾物重に対する比(NDW/TOPDW, g g-1, 1991年のみ)は全品種で低下したが, 根粒重当たりのDNF(DNF/NDW, mg day-1g-1)は増加した. R5頃におけるDNFの最大値には, 品種によっておよそ0.3gm-2day-1から0.5gm-2day-1の変異が認められた. 子実肥大期では一般にDNFが低下したが, 特に4つの旧品種が, 新しい品種と比較して, 早くから急速にDNFを低下させた.
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