日本作物学会紀事
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アフリカイネ(Oryza glaberrima Steud.)の農学的形質に関する研究 : 第2報 乾物増加と水利用効率
角 明夫片山 忠夫縣 和一
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1994 年 63 巻 1 号 p. 105-110

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抄録
西アフリカで収集した栽培稲Oryza glaberrimaとOryza sativaの中から選んだ6系統ずつに日本晴(O. sativa)を加えた計13系統をポット栽培し, 両栽培稲の乾物増加と水消費の経過を比較検討した. O. glaberrimaの各系統の乾物増加は出穂期前後に高い反面登熟完了後急激に停止したが, O. sativaの各系統は緩やかであるがより後期まで乾物増加が継続した. O. sativaは, 出穂後の葉面積減少がO. glaberrimaより緩やかであり, また根/地上部重比が登熟完了後再度微増した. このような差異は, O. glaberrimaの直接祖先種が一年生であるのに対して, O. sativaはその祖先種であるO. perennisの多年生形質を多分に残していることを反映していると推察した. 水利用効率(WUE)は, O. glaberrimaよりO. sativaのほうで高く, またWUEは供試した全系統とも生育経過に伴って低下した. このWUEの低下は生育に伴う葉面積比(LAR)の低下と密接に関連していた. O. glaberrimaの特性である旺盛な葉面積生長は, 消費水量の増大をもたらす一方で, この種の特性である低い光合成/蒸散比を幾分か高く維持することに寄与していると考えられた. O. glaberrimaは穂重/全乾物重比が高く, 結果として穂重/蒸散比には差異は認められなかった.
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