日本作物学会紀事
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穂ばらみ期のイネ幼穂に付着する水滴の日変化
津田 誠藤川 哲哉池田 勝彦
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1994 年 63 巻 1 号 p. 131-136

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抄録
イネの穂ばらみ期に止葉葉鞘に包まれた幼穂の表面には水滴が付着する. この幼穂の付着水は, 蒸散と根圧がかかわる水移動に対応して変化するのではないかと推定した. そこで, 水稲(品種アケノホシ, うこん錦)を水田に栽培し, 幼穂の付着水と稈切断面からの出液を測定した. 土壌乾燥条件下でも同様の測定を行なった. 幼穂の付着水は, 蒸発散能の変化に追随して夜間に増加し, 日中低下した. また, 稈切断面からの出液速度も夜間に増加し, 日中低下した. 付着水の増加量は, 日没後の出液量に比例的であった. 土壌乾燥条件下では幼穂の付着水および出液は殆ど認められなかった. これらの結果より幼穂の付着水は, 夜間には根圧による水移動にともない増大し, 日中には蒸散の影響を受けて失われ, 変動すると結論した.
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