日本作物学会紀事
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緑肥として施用したサンヘンプならびにラッカセイが後作コムギの生長および窒素吸収に及ぼす影響
矢野 勝也大門 弘幸三本 弘乗
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1994 年 63 巻 1 号 p. 137-143

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抄録
夏作マメ科作物のサンヘンプ(品種:コブトリソウ)およびラッカセイ(品種:千葉半立)を緑肥としてすき込み, 後作コムギ(品種:農林61号)の生長ならびに窒素吸収について比較検討した. すき込み時における緑肥作物の乾物生産量は, サンヘンプがラッカセイよりも優った. 一方, 全窒素含有量はラッカセイがサンヘンプよりも優った. すき込み時のC-N率はラッカセイにおいて約20であったのに対してサンヘンプでは約40と高く, 全乾物重に占める茎の割合が著しく高かった. 両マメ科作物の固定窒素量を根粒非着生ラッカセイ(品種:タラポト)を対照作物とした差引法によって算出した結果, ラッカセイで高く, 18gm-2であった. 全吸収窒素に対する固定窒素の割合は何れのマメ科作物ともに60-70%であった. 後作コムギの収量ならびに窒素吸収量は, ラッカセイ区がサンヘンプ区よりも優った. 各々のマメ科作物が後作コムギの吸収窒素に寄与した割合は, サンヘンプ区で9.4%, ラッカセイ区で11.2%であった. ガラス繊維濾紙法を用いて評価した分解速度においてC-N率の高いサンヘンプの分解が遅いことが示された. 以上のように, 両マメ科作物を緑肥としてすき込んだ場合, 後作コムギへの窒素供給作物としてはラッカセイがサンヘンプよりも優った.
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