抄録
作物の根長を容易に測定するための, パーソナルコンピューター, 市販のイメージスキャナーおよび無料で使用できるコンピュータープログラム (NIH Image, ver.1.44) を組み合わせた画像解析による方法を検討した. この方法をルートスキャナー法や直接肉眼で計測する方法 (直接法) と比較しつつ, その精度と実用性を検討した. 根の直径や側根の発生密度の異なるダイズ, トウモロコシ, イネの根を測定に供した. 画像解析法で計測するに当たり, 直径が異なり, あらかじめ長さのわかっているナイロン糸と針金を用いて精度の検討を行い, それらの直径にかかわらずほほ正確な値が得られることを確かめた. 続いて実際の根について計測した結果, トウモロコシ, ダイズでは, ルートスキャナーの計測値は, 直接法で得られた値のそれぞれ約81%と約89%であったが, 画像解析法は精度が高く, 直接法とほぼ等しい値が得られた. イネの場合, 画像解析法で得られた値は直接法よりも約7.5%低かった. これは, イネのように側根の発生密度が高く, 直径が小さい場合, 根の画像を取り込む材料を調節する際に生ずる根の重なり合いが, 完全には避けられないことに起因しでいると考えられる. 一方, ルートスキャナーの計測値は, 直接法による値の約25%であった. また, 画像解析法では, 根長測定にかかる時間も, 直接法に比べ約1/4から1/5に短縮できた.