日本作物学会紀事
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根系構成根の窒素施肥に対する反応性からみたイネ4品種の根系形態
田中 実秋山内 章河野 恭廣
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1995 年 64 巻 1 号 p. 148-155

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抄録
作物の根系を構成する根は, 主軸根としての節根とそれらの根軸上に発生する側根に大別でき, さらにその側根には形態の異なる2つの型の側根が存在する. それらは, 長く, 太く, 高次の側根を発生させるもの (L型側根) と, 短く, 細く, 高次の側根を発生させないもの (S型側根) である. したがって, 根系の形態はこれらの3種類の根の発達程度によって規定することができる. そこで, 耐肥性の程度および生態型 (インド型と日本型) の異なるイネ4品種を用い, こうした観点からみた, 根系形態の品種間差異, および異なる窒素施用量条件下で生育させた時の根系形態の可塑性を評価しようとした. 根系採取は播種後14日目に行なった. その結果, これら4品種間で明確な根系形態の差異が存在することを見いだした. そしてその差異はまず総側根長が総根長に占める割合において認められ, 品種の生態型によって整理することができた. また, S型, L型側根の根数比においてさらに顕著な品種間差異を認め, これは品種の耐肥性によって整理できた. 根系を構成する各根の異なる窒素施用量に対する反応性 (可塑性) についてみると, 発生数における反応は3者間で明確に異なっていたが, 伸長反応では類似の傾向を示した. また, 根系全体でみると, 異なる窒素施用量に対する根系形態の可塑性は, 耐肥性の小さな1品種でとくに大きかった.
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