日本作物学会紀事
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東北地方におけるコムギの品質に関する研究 : 第4報 コムギの硬軟質性に基づく品質形質相互間の関係
伊藤 誠治佐藤 暁子星野 次江
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1995 年 64 巻 2 号 p. 221-226

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抄録
今後の東北地域のコムギの品質改良に帰するため, 東北農試育成の30品種・系統と外国コムギ30品種を同一条件で栽培し, 硬質コムギと軟質コムギとに分類し品質調査を行った. 硬質コムギと軟質コムギで品質諸形質間に有意な差が認められた. また, 硬質と軟質コムギを全体としてまとめたときと, 硬質コムギと軟質コムギに分けたときでは異なる品質諸形質相互間の相関関係が認められた. このため, コムギの品質諸形質相互の相関関係を比較検討するときには, 硬質コムギと軟質コムギに分類して行う必要があることが明らかに出来た. 硬質コムギでは原粒灰分含有率と製粉性との間に負の相関関係が認められた. 硬質と軟質コムギの原粒粗蛋白含有率の平均値に有意な差は認められなかった. 原粒粗蛋白含有率と製粉性との間には相関関係は認められなかった. A粉の白さと製粉性との間に, 硬質コムギと軟質コムギそれぞれで正の相関関係が認められ, グループ内では製粉性の向上は粉色の向上につながると考えられた. 硬質コムギではA粉灰分含有率とA粉の白さおよび明るさとの間に, 負の相関関係が認められ, 粉色の向上に灰分含有率の低下が重要と考えられた. しかし, 軟質コムギでは, 有意な相関関係は認められなかった. 硬質コムギ, 軟質コムギともA粉粗蛋白含有率とA粉の白さおよび明るさとの間には, 有意な相関関係は認められなかった. セディメンテーション値と灰分含有率との間に, 硬質コムギで負の相関関係が認められ, 製パン性には粗蛋白含有率だけでなく灰分含有率も影響している可能性が示唆された.
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