日本作物学会紀事
Online ISSN : 1349-0990
Print ISSN : 0011-1848
ISSN-L : 0011-1848
葉齢を異にする水稲苗の活着, 初期生育および出穂特性
山本 由徳池尻 明彦新田 洋司
著者情報
ジャーナル フリー

1995 年 64 巻 3 号 p. 556-564

詳細
抄録
播種日を変えて同一条件下で育成した葉齢の0の出芽苗から葉齢7.2の成苗(不完全葉を第1葉とする)までの計11種の苗を同一日に移植して, 昼/夜温度が25/20℃と20/15℃の自然光型ファイトトロン内で生育させ, 葉齢を異にする苗の発根および出葉からみた活着特性, 初期生育並びに出穂期の差異について検討した. 1) 葉齢の進んだ苗ほど活着根となる冠根の発生節位が上位で新根発生数が多くなり, 移植後7日目の総新根長, 新根乾物重は優った. 一方, 葉齢が若い苗ほど移植後7日間に抽出した葉の平均葉身長が短いために葉齢増加量は優った. また, 移植に伴う植傷み(移植後3日間の出葉速度の低下)程度も葉齢の若い苗ほど小さい傾向がみられ, 葉齢0の出芽苗では植傷みは全く認められなかった. 2) 移植後7日目の新根数は, 葉齢増加量と非常に高い有意な負の相関関係を示したが, 抽出葉身長とは非常に高い有意な正の相関関係を示した. 3) 葉齢の進んだ苗ほど初期生育は優ったが, 葉齢の若い苗ほど移植後に生長速度が早く, 各生長形質の葉齢による差異は(1)草丈≒葉齢(2)分げつ数≒根数(3)乾物重の順に移植後日数の経過とともに小さくなる傾向がみられた. 4) 最終主稈葉数は, 15.6~16.5枚で大差なかったが, 葉齢の若い苗ほど主稈の止葉展開日並びに株当りの出穂期は遅延した.
著者関連情報
© 日本作物学会
前の記事 次の記事
feedback
Top