日本作物学会紀事
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水稲における1次枝梗粒と2次枝梗粒のアミロース含有率, アミログラム特性および貯蔵タンパク質の分画の差異
松江 勇次小田原 孝治比良松 道一
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1995 年 64 巻 3 号 p. 601-606

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抄録
1次枝梗粒と2次枝梗粒におけるアミロース含有率, アミログラム特性および貯蔵タンパク質の分画の差異について検討した. 食味が優れている1次枝梗粒のアミロース含有率は, 2次枝梗粒に比べて高かった. 1次枝梗粒のアミログラム特性値は, 2次枝梗粒に比べて最高粘度は高く, ブレークダウンは大きく, 糊化開始温度は低かった. したがって栽培条件が同じ場合の同一品種内ではアミロース含有率が高く, 最高粘度は高く, ブレークダウンは大きく, 糊化開始温度は低い粒の方が食味は優れることが判明した. 貯蔵タンパク質の分画についてみると, 1次枝梗粒は2次枝梗粒に比べて, プロラミン含有率とアルブミン+グロブリンの含有率の差は明らかでなかったが, 合計のタンパク質およびグルテリンの含有率は低かった. また, 貯蔵タンパク質の分画の構成比率には1次枝梗粒と2次枝梗粒間で差がなかった. 品種間で検討すると, 良食味品種コシヒカリは日本晴, レイホウに比べて, 1次枝梗粒, 2次枝梗粒ともに合計のタンパク質, グルテリンおよびプロラミン含有率は低かった. これらのことから, 米の食味にはグルテリンとプロラミンが重要な役割を果しており, 同一品種内ではグルテリンが, 品種間ではプロラミンが食味評価の指標として使用できることが考えられた.
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