日本作物学会紀事
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アフリカイネ(Oryza glaberrima Steud.)の農学的形質に関する研究 : 第3報 栽培化と漸減の過程からみた籾の形態的特徴
片山 忠夫角 明夫
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1995 年 64 巻 4 号 p. 807-814

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抄録
アフリカイネ(Oryza glaberrima)の籾の形態的特徴を, アジアイネ(O.sativa), 並びにアフリカとアジアに生育するそれぞれ3種ずつの野生稲, O.breviligulata, O.longistaminata, O.punctataとO.perennis, O.sativa var. spontanea, O.officinalisと比較しながら検討した. 両栽培種は, 籾の形態的特徴において互いに重なりあったが, Series Glaberrimaに属するO.glaberrimaとO.breviligulataはSeries Sativaに属する4種, すなわちO.sativa, O.sativa var. spontanea, O.perennisおよびO.longistaminataよりも扁平な籾の形状を示し, さらに幅/厚比(W/T), 長/厚比(L/T), 長/幅比(L/W)において, W/T>1.45, L/T>3.75, L/W>-4.88×W/T+9.95の3条件を満たす範囲内に分布した. 栽培種は, 野生種よりも著しく一籾容量が大きく, さらに両野生祖先種, すなわちO.perennisおよびO.breviligulataは, 他の野生種と比較して大きな一籾容量をもっていることによって特徴づけられた. 同じO.sarivaであってもアフリカ産品種群はインド産のものと比較して大きな一籾容量をもつものが多かった. 両栽培種の間に平均一籾容量における種間差は認められなかったが, 栽培種として栽培されていないweedy glaberrimaの中には明らかに一籾容量の小さなものが多かった. これらの結果は, O.glaberrimaの漸減が小粒系統を中心になされてきたこと, さらに大粒系統に向けての選択圧がアフリカにおいて特に著しかったことを示している.
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