2022 年 31 巻 2 号 p. 103-108
TEVAR後の脳合併症は直接死に至ることは少ないが著しくADLを落とし長期予後を悪化させる.粥腫塞栓による脳梗塞が主な原因で,無症状の脳梗塞は顕性脳梗塞の数倍の頻度がある.術前CTでの粥腫存在部位診断,それを考慮した愛護的なカテーテルやデバイス操作が予防に重要だがそれだけでは完全には塞栓を防ぐことはできない.頸部分枝のバルーンもしくは直接遮断は予防として有効で,体外循環を用いて脳循環を完全に体循環から分離する方法も取られる.治療は通常の脳梗塞と異なり血栓溶解もしくは除去は有効ではない.エダラボン投与は脳障害の程度を軽減し,予後を改善させるので発症後は躊躇なく使用するべきである.