抄録
トウジンビエの雑種集団を用いて低温での発芽力, 1粒重, 出穂期について集団選抜を行った. 稈長については一穂一列法により選抜した. 遺伝獲得量から測定した遺伝率は形質別で大きく異なり, 発芽力が0.26, 1粒重が0.04, 出穂期が0.77で, 稈長は選抜効果が認められず, 出穂期についての選抜効果が最大であった. 原集団, 出穂期について1回選抜したもの, 2回選抜したものを栽植密度を変えて圃場試験したところ, 子実収量は5月播きは371~511gm-2, 8月播きは164~239gm-2であった. 原集団よりも選抜集団では穂数が多く多収であったが, 1回選抜と2回選抜間の差は明確でなかった. 選抜程度と栽植密度の間にはどの形質ともに交互作用が認められなかった.