抄録
バレイショ品種の栽植密度に対する反応を明らかにするため, 男爵薯, メークイン及びデジマを供試し, 標準区(5個体/m2)及び密植区(同10)の2区を設定して実験した. 密植区では標準区に比べ, いずれの品種においても主茎長が長くなり, 個体あたり分枝数及び葉面積が少なくなった. 匐枝の生長及び個体あたり匐枝数に対する栽植密度の影響はみられなかったが, 有効匐枝歩合は密植区で低下した. いずれの品種においても両密度条件下で個体群生長速度(CGR), 純同化率(NAR), 塊茎乾物生長率(TGR)及び塊茎同化率(EAR)は生育に伴って増加する傾向を示した. また, 密植区ではTGR及びEARが標準区より高く, しかもより早い時期に高い値を示した. 密植により葉, 茎, 塊茎の乾物重は個体あたりでは減少し, 面積あたりでは増加した. 塊茎への乾物分配率は密植区で標準区より高かった. いずれの品種においても上いも収量は密植区で単位面積あたるでは多かったが, 個体あたりでは少なくなった. 平均1個いも重と平均上いも重とは密植区で顕著に低下した. デジマの収量は他の品種よりも著しく高かった. 上いも収量に対する最適栽植密度の範囲は男爵薯及びメークインよりもデジマで高くなるものと推定した.