日本作物学会紀事
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葉身のガス交換速度と気孔との関係 : 第1報 イネ科C3, C4植物の気孔密度および孔辺細胞長
川満 芳信縣 和一比屋根 真一村山 盛一野瀬 昭博新城 長有
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1996 年 65 巻 4 号 p. 626-633

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抄録

葉身の気孔密度および気孔サイズとガス交換速度との関係を明らかにする第一段階として, 本報ではイネ科植物の気孔密度および孔辺細胞長を調査し, 亜科およびC3, C4植物間の差異を検討した. その結果, C4植物の気孔密度は, スズメガヤ亜科では418.5, キビ亜科では243.9個mm-2あり, 夏型C3植物に比べ1/2~1/3であった. 一方, ウシノケグサ亜科に属する冬型のC3植物の単位面積当たりの気孔数は少なく, サイズは大きかった. イネ亜科に属する水稲は, イネ科植物の中で最も高い気孔密度を有していたが, サイズは小さかった. また, 最高分げつ期の最上位完全展開葉に比べ出穂期の止葉の気孔密度は高く, 特に, 日印交雑品種でその傾向が顕著に認められた. イネ科植物において, 気孔密度と気孔サイズは反比例の関係にあり, また, 散布図における各亜科の分布はイネ科の系統樹と対応した.

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